- こんな症状の方に
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- コレステロールの値が高いと言われた
- 動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞が心配
- 最近おなかまわりが気になる
脂質異常症
(1)脂質異常症とは ~動脈硬化のリスクファクター
患者数は約220万人
このうち男性約64万人、女性約156万人にもなります。
脂質異常症とは中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたし、血液中の値が正常域をはずれた状態をさします。脂質異常症は動脈硬化の主要な危険因子であり、動脈硬化を基盤として生じる脳血管疾患・心血管疾患は、癌に続いて日本人の死因の上位を占めるため、早期の発見・治療が重要です。
なお、以前は 高脂血症 と呼ばれていましたが、2007年に名称が改められています。高脂血症は、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪のいずれかが高いか、HDLコレステロールが低いことがその診断基準とされていましたが、総コレステロールが高い人の中に、悪玉LDLコレステロールが正常で、善玉HDLコレステロールのみが高い場合も少なからず含まれていること・善玉HDLコレステロールが低い場合を『高』脂血症と呼ぶことは適当ではないと判断されたためです。
原因
原因は、遺伝、食生活、運動不足、二次性脂質異常症などがあります。
- (ⅰ)遺伝では、家族性高コレステロール血症などがあり、若い頃より高LDLコレステロール血症にさらされるため動脈硬化への進行が早く、適切な指導・治療が必要です。
- (ⅱ)二次性脂質異常症では、糖尿病・甲状腺機能低下症・ネフローゼ症候群などがあり、原疾患の管理・治療によってコレステロール値が改善するため、念頭に置いて検索することが大切です。
(2)診断
脂質異常症は、
LDLコレステロールが140mg/dL以上の【高LDLコレステロール血症】、
HDLコレステロールが40mg/dL未満の【低HDLコレステロール血症】、
中性脂肪(トリグリセライド)が150mg/dL以上の【高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)】
のいずれかとなります。総コレステロールはあくまでも参考値で、診断基準には入りません。
また、コレステロールが血管壁の中にたまると動脈硬化を引き起こすため、様々なリスクに対応するよう
LDLコレステロールが 140mg/dL未満であっても、120~139mg/dLの人は【境界域高LDLコレステロール血症】、
non-HDLコレステロールが150-169mg/dLの人を【境界域高non-HDLコレステロール血症】
とし、治療に対応できるようにしています。
検査の測定法にも注意が必要です。例えば、中性脂肪が≧400mg/dLのときや食後採血の時はnon-HDLやLDL直接法で調べます。
(3)治療
コレステロール以外の危険因子の種類や数によって異なります。いずれの場合にも食事療法・運動療法・禁煙など生活習慣の見直しが基本です。内臓肥満がある場合には、体重の3%減量を目標とします。
脂質異常症の治療の目的は、動脈硬化性疾患の発生予防ですが、個々の患者の背景(性別、年齢区分、危険因子の数、程度)は大きく異なるので、リスクの評価を行い(『冠動脈疾患予防からみたLDL-C管理目標フローチャート』)、動脈硬化性疾患の発症リスクが高い場合は積極的な治療を行います。すでに冠動脈疾患の既往があれば薬物治療を考慮します。また、ハイリスク疾患(糖尿病・CKDなど)を持っている場合は、一次予防高リスク群として、脂質管理目標値が異なります(『リスク別の脂質管理目標』)。
例:冠動脈疾患の既往のない糖尿病の場合
- LDL-C
- <120mg/dL
- HDL-C
- ≧40mg/dL
- TG
- <150mg/dL
- Non-HDL-C
- <150mg/DL
冠動脈疾患予防からみたLDL-C管理目標フローチャート
リスク別の脂肪管理目標値
脂質異常症は、自覚症状がほとんどありません。しかし、動脈硬化性疾患を発症してしまうと、命に関わったり、著しく生活の質を落としてしまいます。このため“サイレントキラー”とも呼ばれています。このことをよく理解することが大切な第一歩です。
また、データだけではなく、頸動脈エコーなど目で見て動脈硬化を実感・評価しやすい検査も併せて行っていきます。
院内設備
乾式臨床化学分析検査(臨床化学分析装置)
肝臓・腎臓機能、コレステロール値などを約10分間で調べることが出来る検査機器です。 急性疾患の診断、治療の効果判定、副作用の早期発見のため、可能な限り迅速に検査結果を得ることが重要と考え導入しております。
全自動血球計数・免疫反応測定装置
炎症反応(CRP)、白血球数、血小板数、貧血、HbA1cを約10分間で調べることが出来る装置です。感染症の有無や貧血、糖尿病の診断・評価を、迅速に行うことができます。
POCTシステムFREND
甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモンを短時間で測定することが出来る検査機器です。甲状腺機能に異常がないかを迅速に調べることが出来ます。
尿化学分析装置
尿検査にて尿タンパク・尿潜血・尿糖・尿中白血球数などを短時間で調べることが出来る検査機器です。糖尿病の合併症の評価や、泌尿器疾患の発見などに役立ちます。
超音波画像診断装置
頸動脈や甲状腺の内部の状態を、その場でモニターで観察することが出来る検査機器です。動脈硬化や甲状腺疾患の診断・評価を行うことが出来ます。